規程整備担当者のための体系整備プロセス

はじめに

規程整備を始めようとお考えの方々向けに、株式会社ENNAにおいて提供している規程整備のプロセスを公開しています。

本プロセスの詳細は、2019年4月より、e-learningで提供を開始します。


規程整備へ着手する

法人組織が10年程度事業を継続し、更に、様々な法改正に対応したり、事業が拡大して組織の数が増えたりすると、個別規程の数が増えていきます。

多くのケースでは、個別の規程を確認しておけば、業務上支障が出ることは少ないのですが、時折以下のケースが発生することがあります。

  • 規程の数が増えて、どの規程を確認すれば分からなくなる。
  • 内部監査により、規程間の不整合が確認され、 修正の指導が入る。
  • 複数の規程に同一の記述があり、選択すべき規程が不明である。
  • 組織変更により、所管組織が分からない。引継ぎが行われていない。
  • 廃止されていない規程があり、新しい規程と衝突している。

以上のようなケースに対応するための整備プロセスを簡単にまとめていきたいと思います。


規程を整備するきっかけ

規程を整備する理由や背景について、社内で討議・検討する機会はあまり多くありません。

中小企業であれば、社員が10名になった段階で就業規則を労働基準監督署に届ける都合があるとか、経理処理で、出張旅費等についてはルールが必要と税理士に指導を受けたなどのケースが考えられます。

創業から10年、20年と経過している企業であれば、当たり前のように就業規則や社内規程類が整備されていて、現在は必要に応じて追加や更新をされているものと思います。

では、実際に「規程を整備する」とはどういう目的のものなのかについて考えておきたいと思います。


「規程」と「定款」の位置付け

規程は、一般的に、法令と定款を受けて作成されます。

法令を受けて作成するというのは、労働基準法に対応した就業規則や、個人情報保護法に対応した個人情報取扱い規程などを指します。事業内容によっては、監督官庁が定める業法に対応した規程類も同様です。

では、定款と規程の関係はどのように考えると良いのかについて、まずは定款そのものから。

「定款」(会社法26条1項)
株式会社を設立するには、発起人が定款を作成し、その全員がこれに署名し、又は記名押印しなければならない。

「記載事項」は、3種類あります。

  1. 「絶対的記載事項」
    記載しなければ「定款」そのものが無効になる事項。目的、商号、所在地等。
  2. 「相対的記載事項」
    定款に定めておかないと効力が否定されてしまう事項。株式の譲渡制限、役員任期の伸長等。
  3. 「任意的記載事項」
    定款へ記載しなくとも定款自体の効力には影響しない事項。
    定款に記載するかどうかは、会社の任意として、別に定めても良い事項。
    ※会社として重要と考えられるものを、変更を容易にできなくする目的で記述するケース有。

社内規程を整備する根拠として定款を受けて整備する事項とは、任意的記載事項への記載により変更手続きが困難になる可能性がある、業務上のルールと考えることができます。取締役の権限等。


規程整備の手順

  1. 定款に定められた事業内容の確認
    定款に定められた事業が、現在の会社の事業内容と適合しているかの確認
  2. 定款に定められた事業内容に対する法令等の確認
    現在の会社の事業内容に関係する法令一覧の作成
  3. 法令等により定められた規程整備状況の確認
    就業規則や個人情報保護、業法対応等の社内で運用されているルールの確認
  4. 上位規程類の整備状況の確認
    取締役会規程、監査役規程等の定款と直結する規程類の整備状況の確認
  5. 上位規程を受けた重要な規程類の整備状況の確認
    組織規程、職務分掌規程、職務権限規程、経理規程等の取締役会決議事項に基づく業務遂行上必要な規程類の整備状況の確認
  6. 重要な規程類に定められた事項に基づく下位規程類の整備状況の確認
    重要な規程類に対応した、手続きや基準を定めた規程・細則・運用則・要領・内規等の整備状況の確認。
  7. 規程類との関係を整理するべき文書の確認(方針、ガイドライン等)
    文書の体系化を進める前に、規程の上位に位置づく「方針」があるか、またグループ会社全体に影響する「ガイドライン」があるかの確認。
    ※規程体系における「規程」に含むと定めることも可能であり、また規程体系において「方針」や「ガイドライン」を別の階層とすることも可能。ただし「ガイドライン」については、規程に定めたルールを詳細化するためのガイドと位置付けられる場合もあるため、扱いに注意。
  8. 規程体系の整理
    3.~7.において確認した規程類の上下関係や他規程類との繋がりの整理。
  9. 規程文書の管理
    規程制定プロセスの整備と、規程類に記述すべき必要事項の決定。
  10. 規程文書の改廃
    規程文書の管理により、他の規程類と衝突が起こっているもの、管理・所管する部門・部署が明示されていないもの等に対し、内容の精査および所管部門・部署の決定、必要に応じた内容の修正および不要な規程類の廃止。
  11. 規程文書の定期的なチェック
    定款の変更は滅多に起こるものではありませんが、労働関連法令や個人情報保護法、その他業法等において法改正が行われる場合には、対応した記述になっているかの規程内容の確認が必要となります。

規程を定める際の体裁・用語

規程文書を作成すると、言い回しについて気になることがあります。

特に、規程文書には決まった形式のものは無く、多くの企業ではひな型を入手して、事業内容に合わせて変更をするという作業を行いますが、規程文書の正解は無いため、必要十分なものかについては、常に疑問が残るものです。

自社の規程類に関する用語集が作成されていると良いのですが、どのような管理をするのかについては、「規程管理規程」の制定の必要性を理解頂ければ、その別添として作成することも可能です。

尚、「規程管理規程」は、「文書管理規程」>「規程管理規程」といった関係に位置付けておくことが望ましいと考えられます。

規程文書を作成する際には、参考としていくつかのサイトが有用です。


ケース別 規程体系整備の考え方

規程類の整備は、いくつかのパターンがありますので、ケース別に考えていきます。
(本テーマは、2019年4月より提供します)

A.規程の数が増えて、どの規程を確認すれば分からなくなる。
50規程を越えたあたりから、だんだん社員が規程類を読まなくなっていきます。

B.内部監査により、規程間の不整合が確認され、 修正の指導が入る。
会計監査の準備段階で、内部監査を実施していますと、どの組織のどの業務を想定した規程かわかりにくいものが出てきます。更に、5年以上改定されていない規程類があれな、所管組織の名称が古い組織名だったりします。

C.複数の規程に同一の記述があり、選択すべき規程が不明である。
就業規則や経理規程に多いケースで、記述が煩雑になったり、作業単位で規定を抜き出す過程で、2つの規程に重複した記載が残り、片方だけが更新されていくケースがあります。

D.組織変更により、所管組織が分からない。引継ぎが行われていない。
組織名称だけが変更される場合には大きな問題にはなりませんが、組織統合や分割が行われた際には「職務分掌」の再定義が必要です。合わせて、規程文書に「所管組織」や「改廃」の条に責任者の部門部署や役職が記載されている場合には確認が必要です。

E.廃止されていない規程があり、新しい規程と衝突している。
新しい規程が制定される際には、既存のどの規程と関係するのかについて確認が必要です。規程の廃止プロセスはを定めず、稟議と取締役会承認で運用されている場合には、戦略的な見直しおよび廃止が行われていないケースが見受けられます。


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平成22年6月30日作成
平成30年12月28日改訂
平成31年2月1日改訂