規規程整備におけるAIの活用

―DX時代のガバナンス設計を支える新たなツール―

企業における規程整備は、単なる社内ルールの作成ではない。規程は、法令や定款を受けて企業活動の基準を定めるものであり、企業のガバナンスや内部統制を支える重要な基盤である。特に近年は、デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展により、企業の事業構造や業務プロセスが大きく変化しており、それに伴って規程体系の見直しの必要性も高まっている。

一方で、規程整備の実務には多くの課題が存在する。規程数の増加により体系が複雑化し、規程間の不整合や重複、所管部署の不明確化などが生じることも少なくない。また、規程レビューや改訂作業は担当者の経験や知識に依存する部分が大きく、体系的に見直すことが難しいという問題もある。

こうした状況の中で、近年注目されているのが生成AIの活用である。AIは規程そのものを自動的に作成するものではないが、規程整備の各プロセスにおいて有効な補助ツールとして活用することができる。本稿では、規程整備のプロセスに沿って、AIの具体的な活用方法を整理する。

規程構成(章立て)の設計におけるAI活用

規程整備の第一歩は、規程の構成設計である。規程には一般的に、目的、適用範囲、定義、管理体制、運用手続、記録管理などの項目が含まれるが、その具体的な構成は企業の事業内容や組織体制によって異なる。

AIはこの段階において、規程構成の検討を支援するツールとして活用できる。例えば、特定の分野の規程について一般的な章構成を提示させることで、規程設計のたたき台を短時間で作成することができる。担当者はそれを参考にしながら、自社の業務実態や組織体制に合わせて構成を調整することで、効率的に規程設計を進めることができる。

もっとも、AIが提示する構成はあくまで一般的な例である。企業固有の事情や法令要件を踏まえた最終的な設計は、人間の判断によって行う必要がある。

規程ドラフト作成におけるAI活用

規程の構成が決まった後は、各条文の作成に進む。この作業は多くの時間を要する工程であり、表現の統一や条文形式への整形など、文書作成に関する負担も大きい。

AIはこの段階において、条文のたたき台作成を支援することができる。例えば、規程の内容を箇条書きで整理した上でAIに入力すれば、それを条文形式の文章として整形することが可能である。また、既存の文章を規程文書として適切な表現に修正することもできる。

さらに、規程文書では文体の統一も重要である。AIを活用すれば、複数の担当者が作成した文章の表現を統一し、読みやすい文書に整えることもできる。このように、AIは規程作成における文書作成作業を効率化するツールとして有効である。

規程文書のレビューにおけるAI活用

規程整備では、ドラフト作成以上にレビュー作業が重要である。規程レビューでは、条文の内容だけでなく、規程体系全体との整合性や運用上の実効性なども確認する必要がある。

企業では規程が増えるにつれて、次のような問題が生じることがある。

  • 規程間で同一内容が重複している
  • 用語の定義が規程ごとに異なる
  • 組織変更により所管部署が不明確になっている
  • 廃止されていない旧規程が残っている

AIは、このようなレビュー作業を補助するツールとして活用できる。例えば、規程文書をAIに分析させることで、曖昧な表現や矛盾する記述を指摘させることが可能である。また、一般的な規程構造と比較することで、不足している可能性のある管理項目を提示させることもできる。

AIによるレビューは完全ではないが、担当者が見落としがちなポイントを示してくれるため、レビューの視点を広げるという意味で有効である。

規程体系整理におけるAI活用

規程整備では、個別の規程だけでなく、規程体系全体の整理が重要となる。企業の規程体系は一般的に、上位規程、基本規程、下位規程という階層構造で構成される。

例えば、

  • 取締役会規程
  • 組織規程
  • 職務権限規程
  • 各種業務規程
  • 細則・要領

といった形で規程が体系化される。

しかし、企業活動の変化や組織改編を経る中で、この体系が徐々に複雑化し、規程間の関係が分かりにくくなることがある。AIは複数の規程文書を横断的に分析することができるため、規程体系の整理にも活用することが可能である。

例えば、規程の内容を分析することで、類似する規程を抽出したり、用語の不一致を確認したりすることができる。また、規程の役割分担を整理することで、重複する規定や空白領域を把握することも可能となる。

DX時代の規程整備とAI

DXの進展は、規程整備のあり方にも大きな影響を与えている。デジタル技術の導入や新規ビジネスの創出に伴い、従来の規程では対応できない場面が増えているためである。

例えば、次のようなテーマが新たに重要になっている。

  • データ活用に関するルール
  • サイバーセキュリティ管理
  • デジタルサービスに関するリスク管理
  • 新規事業における意思決定プロセス

DX時代の規程整備では、単に既存の規程を維持するのではなく、企業の変革を支えるガバナンスの設計が求められる。そのため、規程整備は「やってはいけないことを定めるルール作り」ではなく、「企業活動を支える基準書の設計」として捉える必要がある。

AIは、このような規程整備を支援するツールとして活用することができる。規程構成の検討、条文作成、レビュー、体系整理といった各プロセスにAIを組み込むことで、規程整備の効率と品質を同時に高めることが可能となる。

AI活用における留意点

もっとも、AIの活用にはいくつかの留意点がある。AIが生成する内容は必ずしも正確とは限らず、法令や企業の実態と整合しない場合もある。また、規程案や内部情報をAIに入力する場合には、情報管理にも十分な注意が必要である。

したがって、AIは規程整備を自動化するツールではなく、担当者の思考を補助するツールとして位置付けることが重要である。最終的な判断や責任は、人間が担う必要がある。

企業を取り巻く環境が急速に変化する中で、規程整備の重要性は今後ますます高まると考えられる。規程整備は単なる文書作成ではなく、企業のガバナンスを設計するプロセスである。その実務において、AIを適切に活用することは、より実効性の高い規程体系の構築につながるだろう。

初版:2026年3月11日
著者:ChatGPT
参照:株式会社ENNAコラム